1980年代当時の話です。
MSXパソコンを購入してからというもの、それにすっかり夢中になっていた高校生の私は、ある日の放課後、学校帰りに立ち寄った本屋さんで偶然、一際目を引く表紙の本を見つけました。
それは、ゲーマーなら誰もが知っている「パックマン」のキャラがドーンと載ってる、パソコンユーザーの間では今も伝説となっている「マイコンBASICマガジン」の別冊の、
ALL ABOUT NAMCO
という本です。
これが、その本です。
ちょっと立ち読みしてみたら、ナムコのドット絵キャラクターデータ集と楽譜集が載ってるではないか!
ゲーム開発現場でしかお目にかかれないような技術資料を、こうして惜しげもなく載せている雑誌に衝撃を受けたと同時に、自己表現に飢えていた私の創作魂が疼いた。
「ほ、欲しい! でも、2,500円か・・・.くっ・・・お金が足りない・・・orz」
「あの本、明日も残ってるかな・・・」と、気が気でなかったが、その日は諦めてそのまま帰宅した。
そして翌日の放課後、再び本屋さんへ駆け付けたい所だったが、ちょうどその日は部活動で行けなかったので、級友に「頼む!あの本を買ってきてくれ!」と、お願いした。
次の日、本を無事確保したとの一報を聞いてその本を手渡されたが、その時『実は危うく買えなくなる所だったよ。ちょうど同じタイミングで小(中?)学生の男の子が、残り最後の一冊のその本を買おうとして手を伸ばしたので、どっちが買うかジャンケンで決めたんだよね。』と聞いて (;´∀`)…うわぁ…
こうして、寸での所で手に入れる事ができた私は、本当にラッキーだった。
あの本は内容がマニアックなので、相当な物好きでないと買わないはずだと思っていたが、私の他にも物好きなユーザーがいたようで、身近に同じ趣味の仲間がほとんどいなかった私には、それが嬉しかった。
この時に、私のせいで残念ながら買い逃したその少年も、その後ALL ABOUT NAMCOを何処かで買ったであろう・・・と思いたい。そして、パソコンを使って今も何かを創作しているのであろう、と・・・
そんなこんながあって運良く買えた「ALL ABOUT NAMCO」ですが、自分の目当てはもちろん、その本に掲載の楽譜集です。
当時、熱中していたNAMCOのゲームで「GAPLUS」というゲームがありまして、その本にその楽譜が載っていたので「この曲をMSXパソコンで鳴らしてみたい!」と思って、楽譜をパソコン用の言語(MML)に置き換えてプログラムしていました。
でも、楽譜だけを頼りにデータを打ち込んでも何か間違いが起きるかと思って、サントラ(ザ・リターン・オブ・ビデオゲーム・ミュージック(下の画像)
)も参考にしながら楽譜をデータに置き換えていきましたが、楽譜通りに打ち込んでもサントラの音色と全く違う!いや、音色が間違ってるとかの話以前に、オクターブが違う。何故だ・・・?
・・・と、ここで、楽譜の「8va」の記号の意味を理解した。
それと、そのゲームの効果音の楽譜も載っていて、その楽譜もデータに置き換えてみたが、MSXから出て来た音は「何かが違う」・・・(´ε`;)ウーン…
それもそのはず。MSX-BASICのMMLの処理速度では、最速テンポ255で64分音符の音長は正確な音長で鳴ってくれないのです(MMLレベルではサポートされているが、実際はそこまでの処理能力は無い)。
つまり、MSX-BASICの実用レベルで使えるテンポと音符は、テンポ180の16分音符までが限界だったのです(これは私の経験上の話なので実際は微妙に違うかもしれませんが、ともかく、MSX-BASICの処理速度に、こうした限界があったのは事実です。)。
この現実を知って、愕然としました。
ここでMSXの限界にぶち当たる事になろうとは・・・(´Д`;)…うわぁ…
しかし、この効果音を、どうしても鳴らしてみたい!が、一体どうすれば・・・?
結果的には、効果音を鳴らす事に成功した訳ですが、この辺りの話は、また別の機会にしたいと思います。
そうして完成した曲が、これです(10:59から)。
(イントロのコイン投入音は、先述のとある方法で鳴らす事に成功した効果音です。)
同じく、これも(10:59から)。
こうして、譜面をMMLに置き換える方法を覚えたおかげで、楽譜も読めるようになった。
音楽の授業でも全く理解できなかった楽譜の読み方も、こうして好きなものに夢中になる事で、ようやく読めるようになった。
「好きこそ物の上手なれ」と、昔の人は言ってたけど、そういえば、ドラゴンボールの歌(WE GOTTA POWER)にも、そういう趣旨のフレーズがあったなぁ・・・
でも、自分はスゲェ奴でも何でもなく、いまだにこうしてMSXで曲の打ち込みやってる只の「バカの一つ覚え」ですが・・・(´∀`;)ウーン…まぁ、いいかw