gyabunekoの部屋

レトロPC(MSX)でChiptune音楽、ゲーム、その他いろいろ趣味について書いてます。

マイコンBASICマガジン別冊(NAMCO VIDEO GAME MUSIC PROGRAM大全集)を買って来たある日(回想録)

1980年代当時の話です。

 

話は前後しますが、実は、楽譜を見ながらMSXで曲プログラムを打ち込めるようになる以前は、以下の本を購入して曲プログラムの作り方を勉強(遊び?)していました。

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ナムコビデオゲーム・ミュージック・プログラム大全集(マイコンBASICマガジン別冊:電波新聞社

 

上の画像の本は、その前に発売されていた「ALL ABOUT NAMCO」という雑誌で曲プログラム作品の募集告知がありまして、そこで採用されたプログラム投稿者の作品が掲載された本です(ちなみに「ALL ABOUT NAMCO」と同様に、namcoゲーム音楽の楽譜集も載っています)。

 

そこで私は、MSXで曲プログラムを作りたい一心でこの雑誌を購入しまして、当初はプログラム言語の意味が理解出来ないながらも、とりあえずは雑誌掲載のプログラムリストを見たままデータを打ち込めば曲は鳴るので、それで楽しんでいました。

 

そうして何曲かデータを打ち込んでいくうちに、楽譜とプログラム言語の相関関係が何となく理解できるようになったので、ここでようやく「楽譜をプログラムデータ化してみたい」と思うようになったのです。

 

 で、手始めに、当時熱中していたゲーム(GAPLUS)の曲を、雑誌掲載の楽譜集を見ながらプログラムを作り始めたのですが、ここで、MSX-BASICの限界を思い知らされました。

 

 MSXには「PSG」という音源チップが搭載されているのですが、これが中々の曲者で、ハードウェアエンベロープ(以下HWE)を3ch全てにセットして鳴らすとHWEが全ch連動してしまう仕様なので、それを知らずにプログラムしていた私は「楽譜通りに打ち込んだのに、楽譜通りの音じゃない!しかも、何でこんなに全chポンポン鳴ってるんだ!?」と不思議に思っていました。

それもそのはずです。PSGのHWEは、ch毎に個別のリズムで鳴らす事が出来ない仕様だったのです・・・(´Д`;)…うわぁ…

 

 そして、それよりも致命的なのは「最速テンポ255の64分音符が正確な音長で鳴ってくれない(これは実質、テンポ180の16分音符とほぼ同等の音長です。)」という事実。

(ちなみに、同じPSG搭載の他機種で同じように鳴らすとその通りの音長で発音するので、この致命的な制約はMSX特有のものと思われる。)

ナムコゲームで特徴的な効果音をMSXで再現するためには、この制限はかなりのネックです。

 しかし、それを克服した曲プログラムリスト(PAC & PAL)が、この雑誌に載っていたのです!これは、目から鱗でした。

そこで私は「この方法をマスターすれば、好きなように効果音が作れる!」と思い、そのプログラムの解析を試みました。

 

解析内容を端折って説明しますと、SOUND文で定義した音程データをFOR~NEXT文で括ると、MMLで鳴らす音符よりも高速で鳴らす事が可能になるのです。

この方法をマスターした私は、これでようやくGAPLUSのコイン投入音をMSXで再現できるようになりました・・・

 

・・・ と、ここでようやく、以下のブログの話に繋がる訳です。

gyabuneko.hatenablog.com

 

 この時、MSXユーザーに成って間も無い私は、『パソコンというものは何でも出来る魔法の箱だと思っていたが、実は何も出来ない(正確に言うと「一応出来るけど、機材上に於ける制約が多い。」)』という現実を知りました。

 

この頃に培った打ち込みテクニックもさる事ながら、それよりも自分にとっては「制約の多い機材を如何に使うか?」という「工夫と発想力」を鍛えられた事が、貴重な経験でした。

 この「工夫と発想力」は、MSXチップチューン音楽をやる上で、今も活きています。