gyabunekoの部屋

レトロPC(MSX)でChiptune音楽、ゲーム、その他いろいろ趣味について書いてます。

FM-PAC(MSX-Audioの廉価版)を買ったある日(回想録)

1980~1990年代初頭当時の話です。

 

 MSX-Audioを買ってみたものの、その対応ゲームはほとんど発売されず、そうした状況の中でMSX標準音源のPSGでは満足できなくなってきたユーザの間からも、もっと安くて良い音が出る拡張音源の登場が待ち望まれていました。

 そのようなユーザーの期待に応えたメーカーから、新たな拡張音源が誕生しました。

MSX-Audioからサンプリング機能を省いたFM音源チップ「YM2413(通称OPLL)」とSRAMを搭載した拡張カートリッジ「FM-PAC」が7,800円で発売されたのです!

 

 「おお!これがあれば、FM音源対応のゲームが遊べるぞ! (´∀`)」

 

 さらに、FM-PACには拡張BASICが標準装備されており、これを立ち上げる事によって曲プログラムを組む事も可能。

 「これで7,800円!? 何てお得な! Σ(´∀`;)」

もちろん、即買いました。

(以下、FM-PACの画像と、その使用例。)

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FM-PAC本体とパッケージ

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FM-PACと、ゲームのカートリッジ「アシュギーネ 復讐の炎(マイクロキャビン)」を挿してみた。

 早速、FM-PACに内蔵のサンプル曲を聴いてみたら、チャカポコ鳴ってるリズム音色に特徴があって、「MSX-Audioのリズムとはまた違う音色だけど、これはこれで良いもんだなぁ~」と思って聴いていました。

 

 「サンプリング機能が省かれてるけど、音色とFMポリ数は今までと全く同じとは、何て良い音源だ! (´∀`) 」

 ・・・と、当初は思っていたのですが、実は、このFM-PACに搭載されているFM音源MSX-Audioに搭載のFM音源(Y8950)とは違い、ユーザーエディット音色が1種類しか同時発音出来ない仕様(プリセット音色が15種類、内蔵プログラムによって自動生成されたエディット音色が49種類の、合計64音色。)だったのです。

 49種類ものエディット音色があるとしても、それらの中から異なる音色を複数のトラックへ同時に割り当てる事が出来ないのです(もしも、割り当てて鳴らすと、エディット音色が化けてしまう。)。

この制約は、それまでMSX-Audioで曲作りしていた私にとっては、かなり厳しいものでした。

 

 この事実を知った私は、某お笑い芸人よろしく、

「何て音源だ!! (#^ω^;)ピキピキ」

と、叫びたくなりましたw

 (FM-PACの仕様の詳細は、以下を参照)

ja.wikipedia.org

 その頃にFM-PACで作った曲プログラムが、以下の動画で聴けます。

(曲毎のコメント付き)

3:08 YS [Palace] (Falcom)
4:59 MAD RIDER (Carry Labo)
10:46 SUPER HANG-ON [Winning Run] (SEGA)
17:40 ENDURO RACER [Main Theme] (SEGA)


MSX BASICで音楽を色々演奏してみた:その3(MSX Audio,FM PAC)

 

 以下、同じく。

www.nicovideo.jp

 という訳で、これを買ってから暫くの間は、FM-PAC用の曲プログラムは数曲作っただけで作る気が起きなくなり、専らFM音源対応ゲーム用カートリッジとして使っていました。

 

  ちなみに、「FM-PAC」「MSX2+」「MSX Turbo-R」に搭載されているFM音源(YM2413)は、パチスロ(大花火、ニューパルサー、など)や、SEGAマークⅢのFM音源ユニット、SEGAマスターシステムにも使われていたりします。

(YM2413の仕様は、以下を参照)

ja.wikipedia.org

 

 人生初で聴いたFM音源チップの音色がPC8801mkⅡSRに内蔵の「YM2203」だった私にとっては、2オペレータFM音源で4オペレータFM音源のような音色をどうにかして出したかったのですが、「やっぱりMSXには無理なのか?」と、ここで一旦行き詰ってしまいました・・・ (´・ω・`)ショボーン

 

 ・・・しかし、あるMSXゲームの曲を聴いた事が切っ掛けで、FM-PAC(YM2413)を見直しました。

 それは、マイクロキャビン(当時はパソコンゲームメーカだった)から発売された「Xak」というゲームなのですが、その音楽を聴いた瞬間、

「こ、これが本当に、MSXの音なのか・・・!? ( ゚ ◇ ゚ ;) 」

と、 それまで聴いていたYM2413の音色とは明らかに次元が違う音色に、自分の耳を疑いました。

 そして、これでYM2413の潜在能力を見せつけられた私は、「この音色は、標準の拡張BASICでは絶対に作れない音に違いない。まだまだ自分はこの音源を使いこなせていない!諦めるのはまだ早い!」と、希望が見えました。

 

 これ以降、再び、YM2413を使いこなすテクニックを磨く日々が始まりました。